はじめに
調剤薬局の業務は、膨大な情報管理・書類作成・スタッフ間の共有が必要な複雑なものです。限られた人員・時間の中で、効率的かつ正確に業務を進めるためには、ITツールの活用が不可欠になっています。
本記事では、実際の薬局店舗でAIやGoogle Workspace(Googleフォーム、スプレッドシート、Googleサイト、Gmail、YouTubeなど)を駆使し、どのように業務が効率化されたのかを具体的に紹介します。AIやIT導入を検討している薬局経営者・管理薬剤師・現場スタッフにとって、すぐに真似できるヒントが詰まった内容です。
1. 薬局専用のGoogleサイトで「業務の見える化」
店舗用業務早見表の整備
Googleサイトを活用し、店舗ごとの業務フローを一覧化。誰が見ても「何を・いつ・どうやって」行えばよいかが一目瞭然に。マニュアルや注意事項も紐づけて閲覧可能にしたことで、新人教育や引き継ぎもスムーズになりました。
シフト表&カレンダーの一元管理
Googleスプレッドシートで作成したシフト表やカレンダーをGoogleサイトに埋め込み。薬局長が簡単に更新でき、スタッフもスマホからいつでも確認可能。シフトの見落としやダブルブッキングも激減しました。
業務の見える化により、スタッフ間の情報格差がなくなり、「あの人しか知らない」「聞かないと分からない」という状況から脱却できました。
2. フォーム入力だけで完結!書類作成の自動化
服薬情報提供書 & 訪問薬剤管理指導報告書
Googleフォームに必要事項を入力するだけで、A4サイズ1枚のPDFを自動生成。Googleスプレッドシートにデータも保存されるため、後から検索・再出力もラクラク。紙とペンの時代から、クラウド完結型へ大きくシフトしました。
紙での作成にかかっていた時間は1枚あたり約10分。それが現在は入力3分・自動生成10秒に短縮。スタッフの心理的負担も減り、患者対応に集中できるようになっています。
在宅薬剤管理指導用フォーム
在宅医療では、患者ごとに服薬状況や来訪スケジュールが異なり、管理の煩雑さが課題でした。そこでGoogleフォームを活用し、訪問薬剤管理指導に必要な情報を簡単に入力・蓄積できる仕組みを導入しました。
フォームに回答することで、自動的に以下の項目をスプレッドシートに整理できます:
- 配薬日
- 残薬切れ日(予測)
- 残薬切れ7日前
- お薬カレンダーには何日まで?
- 薬の変更履歴
- 特記事項
- 次回は何月何日から印字?
さらに、患者ごとに専用のスプレッドシートが作成されるため、履歴の確認やチーム内共有が容易になります。
以下の通知機能も連携:
- 薬の切れ目の1週間前にGmailで通知
- カレンダーセットが終了する3日前にも通知
Googleサイトに埋め込まれたカレンダーには、フォームに入力された次回来局予定が自動反映。さらに:
- 毎週日曜に翌週の予定一覧が希望者へメール配信
- 毎晩22時に翌日の訪問予定がGmailで自動送信
現場の安心感と正確性が劇的に向上しました。
3. 棚番登録&出荷調整の「見える化」
棚番未登録薬の一覧表示
ピッキング監査システムに未登録の棚番情報をGoogleフォーム&スプレッドシートで管理。現場スタッフが即座に棚番修正依頼を出せる環境を構築し、監査ミスや手戻り作業が激減しました。
出荷調整薬の一覧化&MS対応
出荷制限中の医薬品を一覧で可視化。Googleサイト上でiPadからも確認でき、MS(医薬品卸営業)対応がスムーズに。薬ごとのGmail通知も設定されており、確認漏れがありません。
4. 情報共有とルールの「一元管理」
店舗ルールや在宅ルールのGoogleドキュメント化
Googleドキュメントにルールを集約し、Googleサイトに埋め込んでいつでも誰でも確認可能に。履歴管理機能により更新内容の追跡も可能です。
処方箋廃棄期限の自動通知
スプレッドシートとGmailを連携させ、廃棄期限を自動的にリマインド。このシステムを取り込むことで、保存期間を過ぎて置いている処方箋の段ボールの山がなくなりました。
5. AIが「答えてくれる」環境を作る:NotebookLMの活用
調剤機器のマニュアルや社内規定のPDFをNotebookLMに読み込ませ、自然言語で質問するだけで即回答が得られる環境を構築。紙を探す手間を削減し、業務効率が飛躍的に向上しました。
6. 動画で学ぶ:業務教育×YouTube活用
基本業務や機器操作を撮影してYouTubeに限定公開し、Googleサイトに埋め込み。OJTに依存しない教育体制を実現。誰でも、何度でも視聴可能な「自学習型マニュアル」です。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. ITやプログラミングの知識がなくてもできますか?
→ はい、Googleの標準ツールとAIの力で実現可能です。
Q2. セキュリティは大丈夫?
→ Google Workspaceで権限管理・2段階認証が可能です。
Q3. コストは?
→ 無料でもかなり使えますが、Workspace導入でより安心です。
8. 導入前後のビフォーアフター比較
項目 | 導入前 | 導入後 |
---|---|---|
服薬情報提供書作成 | 薬歴を書くパソコンのみの記載、データは紙ベース保存 | フォーム入力+自動PDF出力(3分) |
在宅スケジュール管理 | 紙や口頭での確認 | Googleカレンダー+Gmail通知で自動連携 |
マニュアル確認 | 紙ベース・口頭確認 | PDF×AI検索ですぐに回答 |
出荷調整品の管理 | 手帳や記憶頼り | スプレッドシートで一覧・通知管理 |
教育マニュアル | OJT中心で属人化 | YouTube動画+サイトで自学習可能 |
9. 導入チェックリスト
導入の基本ステップは:
- やりたいことをAIに相談する
- AIにコードを書いてもらう
- 埋め込んで使ってみる
- さらにやりたいことをAIに聞く
- また埋め込む
この繰り返しで自然と業務が自動化・効率化されていきます。
- Googleアカウント(もしくはWorkspace)を準備
- 現在の業務を洗い出す
- マニュアルをドキュメント化
- フォーム構成を考える
- スプレッドシート連携を試す
- カレンダー+通知連携を設定
- ノートブックLMを活用
- 社内で簡単な勉強会を実施
10. 薬局業務が劇的に効率化!AI×Google活用で現場が変わった事例まとめ
以上、薬剤師ポンがやってみた、AI×Google活用でした。

薬局業務はアナログと思われがちですが、無料のGoogleツールとAIだけでもここまで変えられます。
仕組み化・自動化・可視化で、限られた時間をもっと価値ある仕事へ。これからの薬局は「人×AI×クラウド」が主役です。
業務が劇的に楽になります。
ご興味ある方はお伝えしますので、コメントかSNSのDMで教えてくださいね。
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