「ちゃんと差してるのに、全然良くならないんです」

薬局のカウンターでこう相談されて、なんとなく「もう少し様子を見ましょうか」で済ませてしまっていませんか。ジクアスLXはドライアイ治療の主力選択肢のひとつになった一方で、「使っているのに効いている実感がない」という相談は現場で本当によく聞きます。

今日は、なぜこの現象が起こるのか、そして患者さんにどう説明すれば納得してもらえるのかを、先輩薬剤師の視点で深掘りしていきます。

\ 現場で悩む薬剤師さんへ /

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ジクアスLXのおさらい:何をしている薬なのか

ジクアスLX点眼液3%は、涙の「量」ではなく「質」に働きかける薬です。有効成分のジクアホソルナトリウムがP2Y2受容体を刺激して、結膜からの水分分泌とムチン(粘液)分泌を促します。

人工涙液のように外から涙を足すのではなく、自分の涙腺・杯細胞に「出しなさい」と働きかけるタイプの薬、というのがポイントです。従来のジクアス(1日6回点眼)から製剤が改良され、1日2回の点眼で済むようになったのがLXの特徴です。

「涙を補う」ヒアレインや、「分泌を促す」従来のジクアスの延長線上にある薬ではありますが、この”効き方の性質”を患者さんにイメージしてもらえるかどうかで、その後の納得度がかなり変わってきます。

「使っているのに痛い」が起こる5つの理由

現場でヒアリングしていくと、原因はだいたいこの5パターンに集約されます。

① そもそも痛みの原因がドライアイではない

これが実は一番多いパターンです。ジクアスLXはドライアイによる「乾き」「異物感」には効きますが、以下のような場合は別の原因を疑う必要があります。

  • 眼瞼炎・マイボーム腺機能不全(まぶたの縁の炎症)
  • アレルギー性結膜炎の合併
  • コンタクトレンズによる角膜の物理的な傷
  • 逆さまつげなどの機械的刺激

「点眼を続けているのに痛みだけがどんどん強くなる」「充血や目やにを伴う」場合は、様子見ではなく眼科受診を勧めるべきサインです。ここは”様子見でいい範囲”と”受診すべき範囲”を、薬剤師側からはっきり言葉にしてあげることが大事です。

② 効果が出るまでの「タイムラグ」を知らない

ジクアスLXは、自分の分泌機能を底上げしていくタイプの薬です。差した瞬間にスーッとするタイプではないので、効果実感まで2〜4週間かかることが珍しくありません

ここを事前に説明していないと、「1週間使ったけど効かないから、もうやめよう」という自己中断につながります。「使っているのに治らない」の正体が、実はこのタイムラグの説明不足だった、というケースは相当多いです。

③ 点眼手技のクセ

  • 点眼後すぐにまばたきを連発して、薬液が涙点から排出されてしまっている
  • 1滴のつもりが目からあふれて、結局半分も入っていない
  • 他の点眼薬(人工涙液や抗アレルギー薬など)と併用時に、間隔を空けずに立て続けに差している

特に3つ目は要注意です。点眼薬を続けて差すと、後から差した薬で先の薬が洗い流されてしまいます。最低5分、できれば10分は間隔を空けるのが基本。複数の目薬を使っている患者さんには、点眼の順番と間隔まで踏み込んで確認する価値があります。

④ 未開封・開封後の保管状態

ジクアスLXは剤形によって、開封後の使用期限や保管条件(冷所か常温か)が指定されています。「バッグに入れっぱなしで高温になっていた」「使用期限をとっくに過ぎたものを使い続けていた」というケースも実際にあります。ここは処方薬の種類によって条件が変わる部分なので、お渡しの際に必ず現物のラベルで確認・説明しておきたいポイントです。

⑤ アドヒアランス(継続率)そのものが崩れている

1日2回とはいえ、「朝バタバタして忘れる」「夜は疲れてそのまま寝てしまう」というのは非常によくあります。本人は”ちゃんと使っている”つもりでも、実際は週の半分しか点眼できていない、ということも珍しくありません。ここは責めるのではなく、生活動線に組み込む提案をするのが薬剤師の腕の見せどころです。

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こういう”患者さんへの伝え方の型”をあらかじめ持っておくだけで、投薬時の会話も、後からの再相談対応もぐっとラクになります。もっと具体的なパターン別トークは、公式LINEやポンマガジン|薬局の武器庫でまとめて配信しています。

服薬指導で押さえておきたいさじ加減

先輩薬剤師として、このテーマで指導するときに気をつけているポイントを共有します。

「様子を見ましょう」を言う前に、必ず切り分ける
痛みの訴えを聞いたら、まず「点眼のタイミング的にいつからの痛みか」「充血や目やになど他の症状を伴っているか」を確認してから説明に入ります。ここを飛ばして先に薬の説明をしてしまうと、受診すべきケースを見逃すリスクがあります。

「効かない」ではなく「まだ途中」というフレーミングで伝える
“効いていない”という言葉をそのまま受け止めると患者さんの不安が増幅されます。「今の目の状態を作っている分泌機能そのものに、今まさに働きかけている途中」という伝え方に変えるだけで、継続への納得度が変わります。

複数点眼している患者さんには、必ず”順番”まで聞く
緑内障治療薬などを併用しているケースは特に多いです。何をどの順番で差しているか、間隔はどれくらい空けているかまで踏み込んで初めて、原因の切り分けができます。

【そのまま使える】患者さん向け会話例文

◆初回説明のとき

「この目薬は、差してすぐスッとするタイプではなくて、ご自身の目が涙を出す力そのものを底上げしていくお薬なんです。なので、効果を実感できるまで2〜4週間くらいかかることが多いので、”効かないな”と思ってもすぐにやめずに、まずは1ヶ月続けてみてください。」

◆複数の目薬を使っている患者さんへ

「目薬を続けて差すと、後から差したお薬で先のお薬が流れて出てしまうことがあるんです。もったいないので、1種類差したら5分くらい、できれば10分くらい間隔を空けてから次を差してみてください。」

◆「痛みが続く」と相談されたとき

「使い方自体は問題なさそうですね。ただ、この目薬が効きにくいタイプの痛みの原因(まぶたの炎症やアレルギーなど)が隠れていることもあるので、充血や目やにも一緒に出ているようなら、一度眼科の先生に診てもらった方が安心です。」

◆継続率が落ちていそうな患者さんへ

「1日2回、たとえば朝の歯磨きの後と、夜寝る前のスキンケアのタイミングとか、すでにある習慣にくっつけると差し忘れが減りますよ。」

薬剤師が押さえておきたい判断・確認ポイント

投薬時・再相談時のチェックポイントをまとめておきます。

受診勧奨のライン:痛みの増悪、充血、目やにの併発があれば、様子見ではなく眼科受診を案内する。

併用薬の点眼順序:緑内障治療薬・抗アレルギー薬などを併用している場合は、順番と間隔(5〜10分)を必ず確認する。

保管状態の確認:お渡し時に、保管条件(冷所/常温)と開封後の使用期限を現物のラベルで一緒に確認する。

継続期間の目安の共有:効果実感まで2〜4週間、最低1ヶ月は継続を、という目安を初回時点で必ず伝えておく。

まとめ

「ジクアスLXを使っているのに目が痛い」は、薬が効いていないのではなく、次のどれかであることがほとんどです。

  • ① 別の原因(眼瞼炎・アレルギー・角膜の傷など)が隠れている
  • ② 効果実感までのタイムラグ(2〜4週間)を知らない
  • ③ 点眼手技(まばたき・間隔)にクセがある
  • ④ 保管状態が適切でない
  • ⑤ 継続できていない

薬を渡すときに”何に効く薬か”だけでなく、”どのくらいで効果が出るか””どう差すと効果が最大化するか”までセットで伝えられると、患者さんの自己中断もぐっと減ります。

※本記事は薬剤師の実務参考用ノウハウです。最終的な判断は各施設のルールや最新の添付文書に従ってください。

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ABOUT ME
薬剤師のポン
薬局薬剤師13年目。 薬学部卒業後、大手チェーン薬局に就職。大病院の門前薬局の前で働き、あらゆる科の調剤を担当する。一通りの仕事がわかってきてから、「自分の地元だったらもっといい仕事ができる」と考え、自分の地元で働きたいと強く願うようになり、地元の調剤薬局に転職。現在は地域密着薬剤師として地元の中小薬局で勤務中。