【保存版】混ぜると危険!軟膏の配合変化NG事例まとめ|Xで3.6万インプの図解を深掘り解説
先日、X(旧Twitter)でポストした「混ぜると危険な軟膏NG事例」の図解、まさかここまで反響があるとは思いませんでした。3.6万インプレッション超え、本当にありがとうございます!


「へぇー、これダメなんだ」で終わらせるのはもったいない。 あの140文字の画像の裏側には、私たち薬剤師が知っておくべき「化学的なドラマ」が隠されています。
今回は、Xの投稿を見た新人薬剤師さんや薬学生の皆さんに向けて、画像の内容をさらに深掘りしつつ、画像には載せきれなかった「新たなNG事例」もガッツリ解説します。
明日からの監査、ちょっと自信がつきますよ。
なぜ「混ぜたらダメ」なのか? 140文字では語れなかったメカニズム
画像で紹介した事例の中でも、特に質問が多かった2つの現象について、もう少しだけ専門的に(でも噛み砕いて)解説します。
1. サリチル酸ワセリン × 尿素製剤 = ドロドロの液体(共融現象)
「サリチル酸ワセリン10%」と「ウレパール(尿素)」を混ぜると、時間経過とともにシャバシャバに液状化します。
これは「共融(きょうゆう)現象」と呼ばれるものです。 個体Aと個体Bを混ぜたとき、それぞれの融点(溶ける温度)よりも低い温度で溶け出してしまう現象のこと。
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サリチル酸の融点:約159℃
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尿素の融点:約133℃
これらが混ざると、室温レベルで「融点」が下がってしまい、液体になってしまうのです。 こうなると、患部に留まらず垂れてしまうため、薬としての体をなさなくなります。「とりあえず混ぜておいて」と言われて一番困るパターンの代表格ですね。
2. 酸性薬剤による「主薬の分解」
「プロスタンディン(アルプロスタジル)」や「ルリコン(ルリコナゾール)」のような薬剤は、pH(酸性・アルカリ性)の変化に非常に敏感です。
ここに「サリチル酸ワセリン」のような強酸性の薬剤を混ぜるとどうなるか?
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プロスタンディン: 主成分が急速に分解され、含量が低下します。
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ルリコン: エステル結合などが加水分解を受け、効果が激減します。
【保存版】画像には載せなかった「追加のNG事例」3選
ここからが本題。Xの画像にはスペースの都合で載せられなかったけれど、臨床現場で遭遇しやすい「要注意な配合変化」を3つ追加で紹介します。
① オキサロール軟膏(活性型ビタミンD3)× サリチル酸ワセリン
【結果】含量低下(分解)
乾癬の治療などで併用される可能性がある組み合わせですが、混合はNGです。 オキサロールの主成分(マキサカルシトール)は、酸性条件下で不安定です。サリチル酸の強力な酸性により、構造が破壊され、効果が失われます。
ポイント: ドボベットなどの配合剤が登場していますが、あれは安定性を保つ特殊な基剤設計がされています。現場での用時調製(Mix)とは別物と考えてください。
② プロトピック軟膏(タクロリムス)× サリチル酸ワセリン
【結果】含量低下(分解)
またしてもサリチル酸ですが、アトピー性皮膚炎治療で「角質が厚いからサリチル酸も」と出されがちなパターン。 プロトピック(タクロリムス)はマクロライド系の構造を持っており、これも酸性条件で不安定です。混合すると分解が進みます。
③ アズノール軟膏 × マクロゴール軟膏
【結果】分離・不均一化(基剤の不適合)
これは化学分解ではなく、物理的な「混ざらなさ」の問題です。 アズノール軟膏は「油脂性基剤(ワセリンなど)」、マクロゴール軟膏は「水溶性基剤」です。 「水と油」の関係なので、いくら練り合わせても均一には混ざりません。時間が経つと分離したり、ボソボソとした使用感になり、患者さんのコンプライアンス(塗る意欲)が著しく下がります。

明日から使える! ドクターへの「疑義照会・提案」トーク術
NGなのはわかった。でも、処方箋を出したのは医師。「混ぜないでください」とストレートに言うのは勇気がいりますよね。 角を立てずに、患者さんの利益を守るためのトーク例を用意しました。
パターンA:効果が落ちる場合(分解系)
「先生、今回処方いただいた〇〇軟膏と△△軟膏の混合指示についてご相談です。 データ上で、この2つを混合するとpHの関係で主成分が分解され、効果が著しく低下するという報告がございます。 治療効果をしっかり出すためにも、今回は『混合なし』で別容器にてお出しし、重ね塗りをご説明してもよろしいでしょうか?」
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コツ: 「ダメです」ではなく「効果を出すために」というポジティブな理由付けをするのがポイント。
パターンB:使用感が悪化する場合(液状化・分離系)
「先生、〇〇と△△の混合ですが、製剤学的に相性が悪く、混ぜるとドロドロに液状化(または分離)してしまい、患者様が患部に塗れなくなる恐れがあります。 同効薬の配合錠に変更するか、もしくは今回は混合せずにお渡ししてもよろしいでしょうか?」
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コツ: 「患者さんが困る(塗れない)」という事実を伝えるのが一番響きます。
まとめ:その「Mix」に根拠はあるか?
軟膏の混合は、日本独特の文化とも言われています。 「便利だから」という理由だけで混ぜてしまい、薬の効果を殺してしまっては本末転倒です。
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酸性薬剤(サリチル酸など)との組み合わせはまず警戒する。
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基剤の性質(油か水か)を確認する。
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迷ったら添付文書の「適用上の注意」やインタビューフォームを見る。
この3つを意識するだけで、あなたの「リスク回避能力」は格段に上がります。
今回の記事が、日々の業務の助けになれば嬉しいです! もっと詳しい情報や、薬剤師のキャリアについての発信は、私のX(@ponnenmaru)でも行っています。ぜひフォローして絡んでくださいね!
それでは、また次回の記事でお会いしましょう。
薬剤師のポンでした!




