ポリファーマシーとは
「poly(複数)」+「pharmacy(調剤)」からくる言葉です。単純に複数個の薬を指しているというわけではありません。
「必要以上の医薬品を使用している状態」を指します。そのため、たとえ数種類程度の医薬品であっても、成分重複の疑いがあったり、何の必要性かわからない医薬品を服用している場合はポリファーマシーの可能性があります。
何故ポリファーマシーは起こるのか?
薬剤師から見ても、薬局でお薬手帳を出してもらったら、A病院とB病院で似たような薬が出ていたり、患者さんの訴えから推測すると、実はB病院で出た薬はA病院で出た薬の副作用のための薬ではないか?と疑うようなケースを経験したことがあるのではないでしょうか?
複数の病院で受診をしている
直接これがポリファーマシーに結びつくわけではないですが、複数の病院を受診していることで、ポリファーマシーになる可能性はあります。腰の痛みがあり、整形外科のA病院で痛み止めと胃薬をもらいました。しかし、この方は普段からかかりつけ内科のB病院ですでに胃薬を服用していました。どちらかの胃薬は必要ない可能性があります。
1つの病院で出た薬の副作用対策で、他の病院の薬が処方される
これも可能性の1つですが、A病院で出た薬で吐き気がでました。これが、A病院で処方されたお薬のものだと気付かず、B病院を受診しました。すると、B病院ではこの原因がA病院の薬によるものと判断されず、症状を抑えるために別の薬が処方されました。A病院の薬を変更することで、ポリファーマシーは防げるかもしれません。
患者さんが薬を正しく服用できていない
糖尿病の方で、まず1つお薬がでました。その方は、途中で薬を飲むのを忘れてしまい、それからも度々飲み忘れをすることがありました。「先生に怒られるかも」という想いから病院受診時には、薬は飲み忘れなく飲めているとお話しし、検査値を見た先生も、しっかりのんでいても数値が下がっていないのでお薬を増やして様子を見てましょうとなってしましました。
こうすることで、どんどん薬が増えていってしまうケースです。患者さんがしっかり薬を服用するようになれば、不要な薬がでてくるかもしれません。
ポリファーマシーをなくすための取り組み
高齢者への取り組み
高齢者のポリファーマシーが問題視されています。高齢者は複数の疾患を患っていることが多く、若年者に比べて薬の量が多い傾向にあります。副作用のリスクも高いため、ポリファーマシーの解決には高齢者に力を入れることが重要視されています。
残薬管理の取り組み
処方された薬を正しく使用せずに残してしまう「残薬」を防ぐためには、実際にどの薬をどんな風に使っているのか、患者さん自身と医療スタッフが共有する必要があります。
患者さんとしっかりコミュニケーションをとり、治療状況や生活環境までを把握することが必要です。患者さんによっては「薬をたくさん処方されないと不安」と感じる方も多くいらっしゃるので、その不安を取り除くのも薬剤師の仕事になってきます。
こういう残薬整理をするためにも、かかりつけ薬剤師の必要性があるとポンは感じています。
減薬への取り組み
よくある処方ですが、今の症状を抑えるためにお薬が処方されることが多いです。そのため、症状が悪化するにつれてどんどんお薬が追加される傾向にあります。
しかし、実際は、服用する薬の量に比例して、副作用のリスクがあがることが懸念され、減薬の必要性が見直されてきました。
2018年の調剤報酬改定では、「服用薬剤調整支援料」が新設され、薬剤師が文書を書いて、医師に減薬を提案し、減薬された場合に評価されることになりました。
大事なのはコミュニケーション力
ポリファーマシーの記事を書いてても思いましたが、やはり解決への糸口は「コミュニケーション力」であると感じます。
患者さんと、医療従事者と、それぞれがコミュニケーションがとれていて、情報を共有できていれば、患者さんが一人で悩み事を抱えることもなくなるし、薬剤師が安心を提供できる存在になれる気がします。かかりつけ薬剤師になってもらうことも、自分が的を得たコミュニケーションをとれているかを測るものさしになりますね。
まだまだ心を開いてくれない患者さんもいっぱいいるので、患者さんのちょっとした悩み事を拾うことができる薬剤師になりたいと感じます。それがポリファーマシー解決にもつながっていくんじゃないかと感じるポンです。
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