認定実務実習指導薬剤師という資格をご存じですか?
「既に持っているよー」という方もいれば、「ナニソレ?」って方もいると思います。
皆さんの勤め先の薬局や病院に、「実務実習生」の方が勉強しにこられることはありますか?
病院や薬局で、実務実習生を教える資格こそが、「認定実務実習指導薬剤師」という資格です。
認定実務実習指導薬剤師とは
「認定実務実習指導薬剤師」とは、6年生薬学部でおこなわれる実務実習において、指導を行う薬剤師のことを表します。
特定の要件をを満たしたうえで、公益財団法人日本薬剤師研修センター(JPEC)が行う研修を修了することで、「認定実務実習指導薬剤師」として認定されます。
仕事内容
平成18年度より、6年生薬学教育課程がスタートしました。
その単位の一環として、「参加型実習」が実施されています。
勉強しにきた実習生について、薬局、病院、それぞれの仕事内容を、座学、または実践を通して指導します。
全て指導薬剤師の監督下で、調剤や服薬指導をすることもあります。
また、「薬剤師がどう地域貢献しているのか」ということも、仕事を通して倫理面に関することも教えています。
認定実務実習指導薬剤師になるための条件
では、認定実務実習指導薬剤師になるためには、どのような条件があるのでしょうか?
5年以上の実務経験が必要

実施要項に定められる基本的素養を満たしており、病院や薬局の薬剤師として5年以上の実務経験(講習の受講時点で継続して3年以上、勤務時間が1週間あたり3日以上かつ20時間以上)であることが必須です。
また、6年生の薬学教育を受けて薬剤師となった者は、認定実務実習指導薬剤師養成研修を前もって受講することができます。
勤務状況
勤務状況は、薬剤師実務経験が、受講する時点において、継続して3年以上であること。
かつ、現在、病院か薬局に勤務(勤務時間数が1週間当たり3日以上かつ20時間以上の場合に限る。)している者であること。
勤務先の望ましい条件

病院の場合、薬剤管理指導業務を実施し、院外処方箋の発行を推進していることが挙げられます。
また、病棟薬剤業務実施加算の届出を行っていることも、望ましい条件です。
薬局の場合、地域保険、医療、福祉などに関する業務を積極的に行っているか。
「健康サポート薬局」の基準と同等の体制を有しているか。
改訂・薬学教育モデル・コアカリキュラムに示された症例
に関する症例を実習できる体制を整備していることが望ましいとされます。
認定実務実習指導薬剤師に必要な講習会、ワークショップを修了したこと

認定実務実習指導薬剤師になるためには、必要な「講習会と、ワークショップ」を受講しなくてはなりません。
講習会形式の研修では
- 薬剤師の理念
- 薬学教育モデル・コアカリキュラム及び薬学実務実習に関するガイドライン
- 学生の指導(法的問題)(薬局関係)(病院関係)
の講座を修了している必要があります。
ワークショップ形式の研修では、一般社団法人薬学教育協議会が認めるワークショップを受講します。
この研修は、ただ講義を聞くだけの研修ではなく、あらかじめ定められた目標を達成するために、参加者全員が
- 全体セッション(発表と討論)
- グループセッション(討論と作業)
を交互に繰り返し、一定時間で問題を解決していく形で進められます。
認定実務実習指導薬剤師の申請、更新手続き方法
申請するための条件についてわかったら、今度は申請方法、更新方法について解説します。
提出に必要な書類(申請)

- 申請書
- ワークショップ修了証
- 講習会の受講証
- 履歴書
- 薬剤師免許証の写し
- 通常はがき(認定通知書用)1枚(自分の宛先、宛名は記載しておく)
- 認定申請料振込明細の写し→認定申請料5,500円(本体5,000円+税500円)
公益財団法人日本薬剤師研修センター、認定実務実習指導薬剤師認定係まで申請します。
提出に必要な書類(更新)
- 更新申請書
- 更新講習の受講証
- 履歴書
- 通常はがき(認定通知書用)1枚(自分の宛先、宛名は記載しておく)
- 更新申請料振込明細の写し→更新申請料5,500円(本体5,000円+税500円)
公益財団法人日本薬剤師研修センター、認定実務実習指導薬剤師認定係まで申請します。
更新に必要な条件
- 認定期間中に、実務実習生の指導実績が1例以上あること
- 現に、薬剤師として勤務していること
- 認定期間中に3年以上(更新申請の直近1年以上)実務に従事していること
- 更新講習を受講していること
更新の条件です。
認定実務実習指導薬剤師の資格をとるメリット

認定実務実習指導薬剤師は、他の算定等に必要な、認定薬剤師などの資格と比較すると、職場から求められる優先順位は低くなりがちです。
では、どのようなメリットがあるのでしょうか。
実習現場として、実習生をよぶことができる
認定実務実習指導薬剤師がいる現場は、「実習生」が実務実習を行うことができる環境になります。
「実習生」に対して実務内容について教えることで、自分の知識の復習になったり、知識の再確認をすることができます。
また、「指導者」として、後輩を育成するスキルを身に着けることができます。
また、2.5カ月の短い期間ですが、「実習生」がその期間入ることは、現場にとっても、新しい空気が入ることになります。
「実習生」に対して、みんなが指導するのを手伝ったり、仲良くなったりすることで、チームとしての一体感も育まれます。
現場で教えられることを考えるようになる
「実習生」がくることで、「自分の現場で教えられることはなんだろう?」
と考えさせられる機会が増えます。
「自分の現場でできること」「現場の強み、弱み」をはっきり認識することは、薬剤師としても、職場としても大事なことです。
また、何年間か同じところで働いている職場の人でなく、「実習生」の屈託のない目線で新しい発見に出会えることがあります。
転職活動に有利になる

認定実務実習指導薬剤師がいる現場は、「実習生」が実務実習を行うことができる環境になります。
そのため、この資格があれば、転職先の薬局は実習生をよぶことができるため、薬局としての活動も広がります。
持っているだけで、評価してくれる就業先はあります。
その評価にも差はあるはずなので、リサーチは欠かさないようにしましょう。

[認定実務実習指導薬剤師を目指す方へ]資格の取り方やメリットについて語ります まとめ
いかがだったでしょうか?
認定実務実習指導薬剤師という資格の取り方、メリットについて紹介しました。
- 5年以上の実務経験が必要
- 勤務状況
- 勤務先の望ましい条件
- 認定実務実習指導薬剤師に必要な講習会、ワークショップを修了したこと
- 実習現場として、実習生をよぶことができる
- 現場で教えることを考えるようになる
自分の薬剤師スキルを磨くためにも、持っていてよい資格だと思います。
また、資格をとるためのワークショップで、他の現場の薬剤師と討論し、接することで、仲良くなり、情報交換の場をつくることもできます。
また、かつて指導していた実習生が、薬剤師になって同じ薬剤師として話せるようになったり、
また、同じ会社で働くことができるようになるのは、指導者としてとても嬉しく感じます。
また、認定実務実習指導薬剤師以外にも、さまざまな認定薬剤師の制度は存在します。
そのページについても触れておきます。

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