※この記事は一部プロモーションを含みます。
ポンは今年度より学校薬剤師を始めることにしました。
薬局や病院に勤めていたら、たまにお誘いを受けることがあると思います。
「聞いた事はあるけど実際やったことはない。」
「どんな仕事内容なんだろう??」
こんな疑問を持っている人は多いんじゃないでしょうか??
今回は、学校薬剤師1年生のポンが、
- 学校薬剤師ってどんな仕事がある?
- どれくらいの頻度で働く必要がある?
- 年収ってどのくらい?
などの疑問に包まれているお話について説明してきます。
では、いってみましょう!!
学校薬剤師とは?
学校薬剤師とは、学校保健安全法に基づき、小学校・中学校・高校などの教育機関で環境衛生や健康管理を専門的にサポートする薬剤師のことです。
具体的には、学校環境の安全確保や薬物乱用防止教育、健康相談などを担当します。薬局や病院勤務とは異なる役割を持ち、地域貢献の観点からも注目される仕事です。
学校薬剤師の年間スケジュール
5月:給食器検査・飲料水検査
新学期が始まり、学校の環境衛生を確認するために給食器検査と飲料水検査を行います。学校給食は児童・生徒の健康に直結するため、以下の点を重点的に検査します。
給食器検査
給食で使用する食器や調理器具が適切に洗浄・消毒されているかを検査します。
大腸菌検査
食器表面に大腸菌が付着していないかを検査。培養検査を行い、食器が適切に洗浄・消毒されているかを確認。
デンプン検査
食器に残った食品の洗浄状況を確認するために、デンプンの残留を調べる。ヨウ素試薬を使用し、色の変化で判断。
脂肪検査
食器表面に油汚れが残っていないかを確認。パプリカアルコール溶液を使用し、油分の残留を検出。
タンパク質検査
食器に付着したタンパク質の残留を確認。ニンヒドリン液を使用し、洗浄不十分な箇所を特定。
今回が最初の学校薬剤師の仕事・・・。
ドキドキして迎えました。
保育園から周り、挨拶をすると、「学校薬剤師の先生ですね!!こちらにどうぞ!!」と、食堂に案内されました。
調理室にいたからから、「はい、どうぞ」と、検体になる、お皿やまな板、包丁を一式渡されました。
一気に渡されて、「あとはよろしくお願いします。」
そんな感じです。
でも、放置されていた方が自分の仕事に集中できました。
飲料水検査
学校で使用される水道水や給水設備の安全性を確認します。
残留塩素濃度測定
水道水の塩素濃度を測定し、基準値(0.1~1.0mg/L)を満たしているか確認。DPD試薬を用いて検査を行います。

DPD試薬が塩素と反応してピンク色になります。
その色の度合で残留塩素の濃度がわかるという仕組みですね。

また、休み明けなどは使われていない場合が多いため、反応の出が悪いそうです。
学校なので4階まであるので流しっぱなしにして、しばらくしてから測定することをすすめられました。
「なるほど!!」と思って、1階の手洗い場から水を流そうとすると・・・

まさかの自動・・。
「流しっぱなしにできない!!」とめっちゃ焦りました。
が、
一部が手動のところがありましたのでそちらで検査することができました。
初めてなのでこういったイレギュラーもありますね。
ドキドキです。
大腸菌群検査
水中に有害な細菌が存在しないかを培養検査。
水質のpH測定
飲料水のpHが基準範囲内(5.8~8.6)であるか確認。
飲料水の水質は児童・生徒の健康に影響を及ぼすため、問題があれば速やかに水道局や学校と連携し、対応策を講じます。
6月:トリハロメタン検査
トリハロメタンは、水道水の塩素消毒の過程で発生する物質であり、長期的に摂取すると健康への影響が懸念されます。この時期に水道水のトリハロメタン濃度を測定し、安全基準を超えていないか確認します。
トリハロメタン検査の詳細
検査目的
発がん性が指摘されているトリハロメタンの濃度を測定し、飲料水の安全性を確保。
検査項目
クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、ブロモホルムの4種類。
総トリハロメタンはプールの使用期間中に1回以上検査を行う必要があります。
濃度の基準は0.2mg/L以下であることが望ましいです。
直接その場で判定することはできないので、アスコルビン酸の入った採水瓶を用いて採水します。

また、その時にその日の天気、時間、気温、水温、残留塩素の記録を残しておかないといけません。
残留塩素は飲料水検査でも使ったDPD試薬を用いて検査していきます。
6月下旬に日付を決められていたので、プールに馳せ参じました。

測定方法
水道水を採取し、ガスクロマトグラフィーなどの分析機器を用いて濃度を測定。
基準値
厚生労働省の定める水質基準(総トリハロメタン濃度0.1mg/L以下)を超えていないか確認。
対策と対応
- 基準値を超えた場合、学校管理者と連携し、水道設備の点検・清掃や、浄水器の適切な管理を指導。
- 児童・生徒が安心して水を飲めるよう、学校内での注意喚起を行う。
- 保護者や教職員にも情報提供し、適切な対応策を共有。
6月〜7月:プール水質検査
夏場に向けて、学校のプールの水質検査を行います。児童・生徒が安心して水泳授業を受けられるよう、以下の点を重点的に検査します。
- プールの気温、水温
- 入泳者数
- 給水原水
- 濁度
- 残留塩素
- 大腸菌
- 一般細菌
- PH
- プール日誌記入状況
- 消毒剤
- 残留塩素測定器
- 専用便所
- 腰洗槽
- プール水の排水先
プール水質検査の詳細
残留塩素濃度測定
塩素濃度が適正範囲(0.4~1.0mg/L)にあるか確認し、消毒効果を確保。
pH測定
pH値が適切な範囲(7.2~7.8)内にあり、皮膚や目への刺激が少ないかを確認。
大腸菌検査
プール水に大腸菌が含まれていないかを確認。
濁度測定
プールの水が透明で、適切な視認性が確保されているかを検査。
遊離残留塩素の安定性確認
水温や使用状況に応じた適切な塩素濃度が維持されているかチェック。
検査結果に基づく対応
- 基準値を超えた場合、プールの使用を一時中止し、水の入れ替えや消毒を実施。
- 塩素濃度の管理が不十分な場合、学校側へ塩素剤の適切な使用法を指導。
- 濁度が高い場合、プールのろ過装置の点検と清掃を促す。
- 教職員や保護者へ結果を報告し、適切な維持管理についてのアドバイスを提供。
9月:給食器検査・飲料水検査(再検査)
2学期の始まりとともに、5月と同様に給食器検査・飲料水検査を行い、継続的に衛生管理が維持されているかを確認します。再検査の目的は、
- 夏休み期間中の衛生環境の変化の確認
- 給食施設の清掃・消毒が適切に行われたかのチェック
- 水道設備の長期使用停止による水質変化の確認
給食器検査の詳細(再検査)
- 細菌検査:新学期が始まる前に、細菌汚染が再発していないかを確認。
- 洗剤残留検査:給食器に洗剤成分が残留していないか、再度試薬でチェック。
- 目視検査:使用開始前に汚れや破損がないか最終チェック。
飲料水検査の詳細(再検査)
- 残留塩素濃度測定:長期休暇中に水道の使用が少なくなるため、塩素濃度の適正値を維持しているか確認。
- 大腸菌群検査:水道水が細菌汚染されていないか再確認。
- 水質のpH測定:pHバランスが基準値内であるか確認し、水道管の異常がないかをチェック。
再検査の結果、異常が発見された場合は学校側と連携して原因調査を行い、改善策を講じることが求められます。また、問題が発生した場合には、速やかに保護者や教職員への情報共有を行い、安全対策を強化します。
1月:二酸化炭素濃度検査結果報告書
冬場は暖房の使用により室内の換気が不十分になりやすく、二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が懸念されます。二酸化炭素濃度の測定は、児童・生徒の集中力や健康状態に影響を与えるため、重要な環境衛生管理の一環です。
二酸化炭素濃度検査の目的
- 室内の空気環境を適切に管理するため
- 長時間の授業によるCO2濃度上昇のリスクを評価
- 換気設備や窓の開閉状況が適切か確認
測定方法
- CO2測定機器を使用し、各教室の二酸化炭素濃度を測定
- 授業開始と授業終了間際でのCO2濃度の変化を比較
- 基準値(1000ppm以下)を超えていないかチェック
結果報告と対応策
- 測定結果を学校に報告書として提出
- 1000ppmを超えた場合、換気の改善を指導
- 授業ごとに窓を開ける
- 換気扇や空気清浄機の適切な活用
- CO2モニターの設置を推奨
- 生徒・教職員へ注意喚起を実施
二酸化炭素濃度の適正管理は、学習環境の向上と健康維持に大きく貢献します。
2月:学校保健委員会
年度末に開催される学校保健委員会は、学校の健康管理や環境衛生に関する総括的な会議です。学校薬剤師は、年間の活動報告を行い、次年度に向けた改善点や提案を行います。
学校保健委員会の目的
- 児童・生徒の健康増進を図るための施策を検討
- 学校環境の衛生管理状況を確認し、改善策を提案
- 教職員・保護者・医療関係者との連携強化
学校薬剤師の役割
- 年間の環境衛生管理業務の報告
- 給食器検査、飲料水検査、プール水質検査、二酸化炭素濃度検査などの結果を説明
- 各検査に基づく改善指導の実施状況を共有
- 次年度に向けた環境衛生の課題と提案
- 空気環境管理の改善策(換気設備の強化など)
- 学校給食の衛生管理向上のための指導
- 健康リスクのある施設・設備の見直し
- 薬物乱用防止や感染症予防の啓発活動報告
- 生徒向け講習会の実施内容
- インフルエンザや新型ウイルス対策の説明
- 学校関係者への情報提供
委員会での主な議題
- 健康診断の結果報告と健康指導の強化策
- インフルエンザなどの感染症対策の見直し
- 学校環境(空気・水・給食・清掃管理)の評価
- 生徒の生活習慣・メンタルヘルス支援の強化
委員会の成果と今後の展望
学校保健委員会は、学校薬剤師だけでなく、養護教諭、学校医、栄養士、教職員、保護者代表が参加し、学校全体の健康管理をより良いものにするために話し合う場です。
委員会の結論をもとに、新年度の保健計画が策定され、学校環境の改善が実行されます。学校薬剤師としての意見が教育現場に反映される重要な機会でもあるため、積極的な関与が求められます。
環境衛生管理の具体的な業務
学校薬剤師は、年間を通じて学校環境の衛生管理に関わり、児童・生徒が健康的に過ごせるように支援します。以下のような具体的な業務を行います。
1. 空気環境の管理
- 二酸化炭素濃度の測定:教室のCO2濃度を測定し、換気の必要性を判断。
- 浮遊粉塵の測定:空気中のホコリやアレルゲンの濃度を測定し、清掃管理の改善を提案。
- ホルムアルデヒドなどの化学物質検査:シックハウス症候群の原因となる物質の測定を実施。
- 湿度・温度管理:冬場の乾燥防止、夏場の熱中症予防のための適切な環境管理を指導。
2. 水質管理
- 飲料水の水質検査:大腸菌・残留塩素濃度・pH値のチェック。
- プール水の検査:プール水の衛生基準(塩素濃度・pH値・細菌検査)を満たしているか確認。
- 手洗い場・給水設備の衛生指導:蛇口や水飲み場の定期的な清掃・点検を指導。
3. 給食施設の衛生管理
- 給食室の衛生チェック:調理器具、作業台、食器の消毒・清掃状況を確認。
- 食品の安全管理:食材の保存温度や異物混入のリスクを確認。
- 給食従事者の衛生指導:手洗い・マスク着用・作業服の着用状況をチェック。
4. 学校設備の衛生管理
- 教室・トイレの清掃指導:適切な清掃頻度や消毒方法の提案。
- ゴミ処理の適正管理:分別・保管・処分方法の指導。
- 害虫・害獣対策:ネズミやゴキブリの発生を防ぐための環境整備。
5. 騒音・照度管理
- 騒音測定:教室や体育館の騒音レベルを測定し、学習環境への影響を評価。
- 照度検査:教室の明るさを測定し、目の健康を守る適切な照明環境を整備。
6. 感染症対策
- インフルエンザ・ノロウイルス対策:手洗い・消毒・換気の指導を実施。
- 学校内の消毒作業の確認:ドアノブ・机・トイレなどの接触部分の消毒状況を確認。
- 保健室の衛生管理指導:使用頻度の高い備品の清掃、感染症対策の徹底をサポート。
7. 薬物乱用防止教育
- 違法薬物の危険性を指導:中高生を対象に薬物のリスクや依存症の影響を説明。
- 処方薬・OTC薬の適正使用教育:風邪薬や睡眠導入剤の誤用・乱用を防ぐための指導。
- タバコ・電子タバコ・アルコールの健康影響の啓発:未成年の喫煙・飲酒のリスクを説明。
学校薬剤師が実施する教育活動は、単なる講義にとどまらず、実際の事例を交えながら、生徒に理解しやすい形で伝えることが求められます。
学校薬剤師は、これらの業務を通じて、児童・生徒が健康で安全に学校生活を送れるよう支援しています。定期的な検査や指導を通じて、学校環境の改善に貢献し、より良い学習環境の確保に努めています。
学校薬剤師の年収は?
だいたいの算出になりますが、僕のエリアでは1校につき約15万円です。(手取り)
認定保育園などの場合は約5万円程度となります。
年4~5回ほど顔を出してもらえる金額としては充分かなと感じます。
学校薬剤師として働くには?
学校薬剤師になるには、地域の薬剤師会を通じて登録するか、教育機関と直接契約を結ぶ方法があります。しかし、学校薬剤師の求人は一般的な薬剤師の転職サイトでは見つけにくいのが現状です。
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学校薬剤師の仕事内容とは?年間スケジュールや役割を解説:まとめ
学校薬剤師は、児童・生徒の健康を守る重要な役割を担っています。環境衛生管理や薬物乱用防止教育など、幅広い業務を担当しながら、地域社会に貢献できるやりがいのある仕事です。
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