認定実務実習指導薬剤師という資格をご存じですか?
「既に持っているよー」という方もいれば、「ナニソレ?」って方もいると思います。
皆さんの勤め先の薬局や病院に、「実務実習生」の方が勉強しにこられることはありますか?
病院や薬局で、実務実習生を教える資格こそが、「認定実務実習指導薬剤師」という資格です。
この記事では
- 認定実務実習指導薬剤師ってどんな資格?
- 認定実務実習指導薬剤師の仕事内容って?
- 認定実務実習指導薬剤師になるには?
これらの事について、認定実務実習指導薬剤師として何人も実習生を見てきたポンが経験談を元に熱く語っていきます。
ではいってみましょう!!
認定実務実習指導薬剤師とは
「認定実務実習指導薬剤師」とは、6年生薬学部でおこなわれる実務実習において、指導を行う薬剤師のことを表します。
特定の要件をを満たしたうえで、公益財団法人日本薬剤師研修センター(JPEC)が行う研修を修了することで、「認定実務実習指導薬剤師」として認定されます。
平成18年度より、6年生薬学教育課程がスタートしました。
その単位の一環として、「参加型実習」が実施されています。
勉強しにきた実習生について、薬局、病院、それぞれの仕事内容を、座学、または実践を通して指導します。
全て指導薬剤師の監督下で、調剤や服薬指導をすることもあります。
また、「薬剤師がどう地域貢献しているのか」ということも、仕事を通して倫理面に関することも教えています。
認定実務実習指導薬剤師の仕事内容
実習生の迎え入れ
まず、認定実務実習指導薬剤師のいる店舗は、実習生の学び場となります。
現在薬学部の実務実習はⅠ期~Ⅳ期にわかれていて、薬学生は薬局、病院の順に11週間ずつ実習を行います。
年度によって日付は若干違いますが、大体のスケジュール月です。
- 第Ⅰ期:2月~5月
- 第Ⅱ期:5月~8月
- 第Ⅲ期:8月~11月
- 第Ⅳ期:11月~2月
1年間で何期に何人実習生が来るかどうかお知らせが県薬剤師会から来ます。
チェーン店の薬局でも、どの店舗に実習生を呼ぶことはコントロールできません。
実習生の実家や一人暮らしの地域に近い薬局で、条件の合う薬局が適応されるようです。
実務実習の始まる数週間前に、実習生と担当の先生の2人で挨拶に来られる事が多いです。
その時に実習の概要と持ち物を簡単に説明できるように資料をまとめておきましょう。
11週間の実習の始まり
11週間と長い間ですが、実習生の臨床での教育を担当することになります。
薬局業務で外来のみの教育では、することがルーティン化されてきてマンネリ化してきます。
施設在宅に一緒にいったり、メーカーさんの勉強会に参会してもらったり、卸見学に行ったりなど、11週間でどのような事をするかあらかじめスケジュールを立てておきましょう。
最初は主に店舗の業務を覚えてもらう
まずは店舗のオリエンテーションから入ります。
- 自店舗の主な門前薬局
- 広域処方箋でどんな病院から処方がくるのか?
- 主に学べる事は?
など、ざっくり概要を実習生にお話するようにしましょう。
僕の店舗では、まず自店舗ではどういう流れで入力、調剤、監査、投薬が進んでいくのかをお話します。
初日の午前中は座学でマニュアルを見ながら教えます。
ある程度理解できたら午後からはちょっとずつ調剤に挑戦してもらいます。
その日に触ったお薬の知識をお話
「実践に勝るものはない」と思っていますのでその時に実習生が触ったお薬について勉強の時間をつくります。
じっくり時間をかけて考えてもらう時間と、その場でパッと調べてもらう時とケースバイケースです。
ある程度調剤をこなしたらこなした分のお薬について考えてもらったり、「なぜこの患者さんにこの薬がでたのか?」を考えてもらう時間も作るようにしています。
呑み込みの早い人なら2週間ほどである程度の調剤業務がスムーズにできるようになります。
ただし、ピッキングが素早くできれば仕事がデキてる!!と感じてしまう実習生を何人も見てきました。
薬剤師を目指しているのだからそこに薬の知識が伴っていないと意味がありません。
そのためにも「その日触ったお薬はその日に学んでもらう」ようにしてもらいます。
服薬指導の経験を積んでもらう
日にちが経って、調剤と処方解析がある程度できていくと、いよいよ服薬指導に向けての練習をこなしてもらいます。
服薬指導は薬の知識が伴ってないと説明することができません。
最初は1剤などの簡単な処方箋の処方解析をしてもらい、問題なければスタッフに向けて、服薬指導のロールプレイから入ってもらいます。
服薬指導は慣れればどうってことはないですが、最初の頃はまだ自分の型ができておらず「患者さんに何を話せばいいのか?」で頭がいっぱいになります。
緊張もあって、しゃべるのがガタガタになってしまう人が多いです。
まずは薬局スタッフに向けて何度か練習することでだんだんと服薬指導でのお話の仕方に慣れていきます。
ここで、「もう大丈夫だな」と判断するのも認定実務実習指導薬剤師の仕事だと思います。
スタッフ内で問題なければ、患者さんに服薬指導を行うことに挑戦してもらいましょう。
その時に患者さんでも、「この人なら実習生に温かい目で接してくれそうだな」という方を選んで、事前に許可をとる必要があります。
最初から何もお話せずにいきなり実習生にいってもらうとトラブルの可能性もあります。
あらゆる可能性を考慮して動く必要があります。
疑義照会にチャレンジ
実際に疑義照会が必要な処方に出会った時に、実習生に疑義照会の電話をチャレンジしてもらいましょう。
実習生が挑戦できそうなレベルの疑義照会をピックアップする必要がありますので、機会がとても少ないです。
なかなかチャンスをつくれずに11週間が終わってしまうことも・・。
最初の方からチャンスがあれば積極的に電話してもらうようにがんばりましょう。
1人の患者さんの背景を追う事も
評価の項目に[処方設計と薬物療法の実践]というものがあります。
患者さんに投薬されたお薬の効果について、副作用が発現したかどうか、副作用が発現した場合は処方変更の提案をするかどうか、などの評価項目です。
正直普通の薬剤師でもめちゃめちゃ難しい項目だと思います。
服薬指導で、今後お薬が続いていく患者さんがどういう状態に回復していくのかを一緒に追ってもらう事もやっていきます。
自分のやりたい事を積極的に体験してもらう
実習先の店舗にこもりっきりだと、やっていくことがマンネリ化してきます。
まだ実習生の段階で、将来どんな薬剤師になりたいかというのはまだフワっとしている人が多いです。
たくさん経験を積んでもらうためにも、他の科の門前薬局や、在宅中心の薬局などに一日研修にいってもらい、経験を積んでもらいましょう。
思わぬ体験ができて喜んでくれる方がいます。
毎日の日誌への返答
実習生の書いてくれる毎日の日誌を読んで、それについてコメントします。
これがね・・結構つらいんですよね。
業務終了後になることは仕方ないんですが、家に帰ると完全にOFFモードになってしまうので。
数日溜めちゃうこともあって実習生に「ごめんね」と謝ることもあります。
実習発表の準備
いろいろ実習を積んでいくと11週間はあっという間です。
実習先によっては、最後に実習発表をする機会を設けるところがあります。
僕の会社も最後に成果発表をしてもらうようにしていて、担当の先生もお呼びして11週間の成長を見てもらいます。
そういった外部の方々も見てもらう発表のため、いいものにしていかないといけません。
項目は特になんでも問題ないですが、自分が実習して発表してみたい!!追求してみたい!!と思ったものを早い段階で聞いて、用意しておくようにしましょう。
実習発表会が終われば、実習生とはお別れになります。
11週という短い間ですが、自分の教え子という感覚になりますので、お別れとなるとちょっと寂しいな・・と感じますね。
最終評価
全ての評価が終わったら、実習終了時の評価を指導薬剤師がつけます。
実習生の成績に関わる資料なので、よく考えてありのままを付けるようにしましょう。
最後に学校側に評価を送れば実習終了です!!
認定実務実習指導薬剤師になるための条件
では、認定実務実習指導薬剤師になるためには、どのような条件があるのでしょうか?
5年以上の実務経験が必要
実施要項に定められる基本的素養を満たしており、病院や薬局の薬剤師として5年以上の実務経験(講習の受講時点で継続して3年以上、勤務時間が1週間あたり3日以上かつ20時間以上)であることが必須です。
また、6年生の薬学教育を受けて薬剤師となった者は、認定実務実習指導薬剤師養成研修を前もって受講することができます。
勤務状況
勤務状況は、薬剤師実務経験が、受講する時点において、継続して3年以上であること。
かつ、現在、病院か薬局に勤務(勤務時間数が1週間当たり3日以上かつ20時間以上の場合に限る。)している者であること。
勤務先の望ましい条件
病院の場合、薬剤管理指導業務を実施し、院外処方箋の発行を推進していることが挙げられます。
また、病棟薬剤業務実施加算の届出を行っていることも、望ましい条件です。
薬局の場合、地域保険、医療、福祉などに関する業務を積極的に行っているか。
「健康サポート薬局」の基準と同等の体制を有しているか。
改訂・薬学教育モデル・コアカリキュラムに示された症例
に関する症例を実習できる体制を整備していることが望ましいとされます。
認定実務実習指導薬剤師に必要な講習会、ワークショップを修了したこと
認定実務実習指導薬剤師になるためには、必要な「講習会と、ワークショップ」を受講しなくてはなりません。
講習会形式の研修では
- 薬剤師の理念
- 薬学教育モデル・コアカリキュラム及び薬学実務実習に関するガイドライン
- 学生の指導(法的問題)(薬局関係)(病院関係)
の講座を修了している必要があります。
ワークショップ形式の研修では、一般社団法人薬学教育協議会が認めるワークショップを受講します。
この研修は、ただ講義を聞くだけの研修ではなく、あらかじめ定められた目標を達成するために、参加者全員が
- 全体セッション(発表と討論)
- グループセッション(討論と作業)
を交互に繰り返し、一定時間で問題を解決していく形で進められます。
認定実務実習指導薬剤師の申請、更新手続き方法
申請するための条件についてわかったら、今度は申請方法、更新方法について解説します。
提出に必要な書類(申請)
- 申請書
- ワークショップ修了証
- 講習会の受講証
- 履歴書
- 薬剤師免許証の写し
- 通常はがき(認定通知書用)1枚(自分の宛先、宛名は記載しておく)
- 認定申請料振込明細の写し→認定申請料5,500円(本体5,000円+税500円)
公益財団法人日本薬剤師研修センター、認定実務実習指導薬剤師認定係まで申請します。
提出に必要な書類(更新)
- 更新申請書
- 更新講習の受講証
- 履歴書
- 通常はがき(認定通知書用)1枚(自分の宛先、宛名は記載しておく)
- 更新申請料振込明細の写し→更新申請料5,500円(本体5,000円+税500円)
公益財団法人日本薬剤師研修センター、認定実務実習指導薬剤師認定係まで申請します。
更新に必要な条件
- 認定期間中に、実務実習生の指導実績が1例以上あること
- 現に、薬剤師として勤務していること
- 認定期間中に3年以上(更新申請の直近1年以上)実務に従事していること
- 更新講習を受講していること
更新の条件です。
認定実務実習指導薬剤師の資格をとるメリット
認定実務実習指導薬剤師は、他の算定等に必要な、認定薬剤師などの資格と比較すると、職場から求められる優先順位は低くなりがちです。
では、どのようなメリットがあるのでしょうか。
実習現場として、実習生をよぶことができる
認定実務実習指導薬剤師がいる現場は、「実習生」が実務実習を行うことができる環境になります。
「実習生」に対して実務内容について教えることで、自分の知識の復習になったり、知識の再確認をすることができます。
また、「指導者」として、後輩を育成するスキルを身に着けることができます。
また、2.5カ月の短い期間ですが、「実習生」がその期間入ることは、現場にとっても、新しい空気が入ることになります。
「実習生」に対して、みんなが指導するのを手伝ったり、仲良くなったりすることで、チームとしての一体感も育まれます。
現場で教えられることを考えるようになる
「実習生」がくることで、「自分の現場で教えられることはなんだろう?」
と考えさせられる機会が増えます。
「自分の現場でできること」「現場の強み、弱み」をはっきり認識することは、薬剤師としても、職場としても大事なことです。
また、何年間か同じところで働いている職場の人でなく、「実習生」の屈託のない目線で新しい発見に出会えることがあります。
転職活動に有利になる
認定実務実習指導薬剤師がいる現場は、「実習生」が実務実習を行うことができる環境になります。
そのため、この資格があれば、転職先の薬局は実習生をよぶことができるため、薬局としての活動も広がります。
持っているだけで、評価してくれる就業先はあります。
その評価にも差はあるはずなので、リサーチは欠かさないようにしましょう。
認定実務実習指導薬剤師がいかせる転職なら
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- 求人情報の流し読みはなく、完全相談制
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SNSや公式LINEでの相談がメインです。
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また、noteで「薬剤師の資産形成」についてのブログを公開しています。
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正社員だけでなく、派遣やパートの求人案件も数多く所有しています。
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[認定実務実習指導薬剤師を目指す方へ]資格の取り方や業務内容について語ります まとめ
認定実務実習指導薬剤師という資格の取り方、メリットについて紹介しました。
- 5年以上の実務経験が必要
- 勤務状況
- 勤務先の望ましい条件
- 認定実務実習指導薬剤師に必要な講習会、ワークショップを修了したこと
- 実習現場として、実習生をよぶことができる
- 現場で教えることを考えるようになる
自分の薬剤師スキルを磨くためにも、持っていてよい資格だと思います。
また、資格をとるためのワークショップで、他の現場の薬剤師と討論し、接することで、仲良くなり、情報交換の場をつくることもできます。
また、かつて指導していた実習生が、薬剤師になって同じ薬剤師として話せるようになったり、同じ会社で働くことができるようになるのは、指導者としてとても嬉しく感じます。
めちゃくちゃ嬉しいですよね!!
また、認定実務実習指導薬剤師以外にも、さまざまな認定薬剤師の制度は存在します。
そのページについても触れておきます。
ポンマガジンは、薬剤師の生き方を追求するブログです。
薬剤師、薬学生に夢を届けたい!!
ではでは♪